理事長所信

                    公益社団法人 武生青年会議所
                      第55代理事長 上木 貴博

【はじめに】
 私は2011年に武生青年会議所に入会した。その年は我々の考えを一変させる災害が起こった。東日本大震災である。3月11日14時46分経験したことのない揺れとともに日本中の人々の笑顔がかき消され、テレビに映し出される映像はどこか現実からはかけ離れたものであった。そして誰もが今住み暮らす地域で同じことが起こったらと想像し、今ある日常があたり前ではないことを思い出した。人は困難な状況になり初めて、日々平穏な暮らしを送ることの幸せを感じることができ、そしてそれを支えてくれている人たちの存在も感じることができる。私はそのようなことにさえ気づくことない、ただ助けられるだけの人間であった。
 我々の住み暮らすこの地域も災害とは無縁ではなく、これまで豪雨による洪水や土砂災害に見舞われてきた。その度に青年会議所の先輩たちは率先して行動してきた。日頃、この地域を支えていくという自負があるからこそ率先して行動していけるのであると私は思う。私はそのような先輩たちのようになりたい。そしてこれからも我々JAYCEE一人ひとりが地域を支え、より豊かに変え、この地域の10年後、20年後の未来を切り開き、そしてより豊かな社会を次の世代へつないでいける人財となる。これが私の目指す武生青年会議所だ。


【一人ひとりを育て、地域の力とする】
 青年会議所は運動を通して様々な機会や出会いがある。それは確かに目の前にあるが、つかみ取るかは本人次第である。時に高い崖のように思い、立ち止まり引き返してしまうかもしれない。その試練におののくことなく、恩寵的試練と捉え、登攀したときに成長の一歩を踏み出すことができる。時には一人では越えられないこともあるだろう。共に歩んでくれ、叱咤激励をして、背中を押してくれる仲間が得られる場が青年会議所である。私も立ち止まったときに仲間や先輩に助けられ、前へ進むことができた。一人ひとりが前へ進み、成長をすることが地域を変える力となっていくのである。
これからも地域の人財を生み出していくためには会員拡大運動は不可欠である。近年会員拡大運動は大きな成果を上げてきているが、我々は40歳という限りある時間の中で活動している。本年も地域の人財となった多くのメンバーが卒業を迎える。会員拡大運動を止めたとき、我々の運動は大きく縮小してしまうだろう。これからも我々の運動の火を絶やさず継続していくために、メンバー一人ひとりが青年会議所の魅力や住み暮らす地域への想いを語れ、そして拡大への意識を持ち、新たな仲間を迎え100人LOMとなろう。


【自らを支えてくれているすべての力に感謝を】
 戦後70年以上が経ち、私たち日本人の価値観が変わってきた。その最たるものは家族観であると私は思う。時代の変化に伴い、価値観が変わっていくのは世の常である。しかし、今ここに私たちが存在するということは必ず両親という、産み育ててくれた人がいるということである。これは人類という歴史が続く限りあるあたり前のことである。だがしかし、家族構成の変化による核家族化や単世帯化により世代間の交流が薄くなり、親や祖先から与えられていることがあたり前になりすぎてはいないだろうか。価値観の変化とともにこれからも家族の形は変わっていくだろう。しかし、自分ひとりの命ではなく、産み出され、助けられ、そして引き継がれていかれていくということを決して忘れてはならない。


【夢を与えることのできる大人に】
 我々親世代も子どもたちに「夢」を与えられる大人でなければならない。「夢」とは空想や妄想ではなく、まっすぐに努力をすることで得られる「実現可能な未来」のことである。努力をしても思った未来は得られないかもしれない。しかし、しっかりと方向を定め、まっすぐに努力をしなければ未来を得ることはできない。努力をしても未来は得られないと、子どもたちの可能性を狭めてしまう大人ではなく、個性を理解することができ、子どもたちに様々な可能性を見せていける大人にならなければならない。そういう大人こそ子どもたちに誇れる背中を見せることのできる大人なのだ。


【魅力を再発見し、生き残るための持続的なまちづくり】
 自治体間、地域間の競争と言われるようになり久しいが、我々の地域は幸福度が高いと言われているにもかかわらず、人口の減少は止まらない。この争いの中を生き残っていくためには、今一度、住み暮らす地域の魅力を考え、メディアの報道や漂う雰囲気ではなく、事実を知ることによって問題の本質をとらえ具体的な解決に向けて運動を展開していかなければならない。そこに我々、青年経済人の経営意識を取り入れたまちづくりを行うことにより、持続的に豊かな社会をつくることができるのである。それは例えるなら、穀物を食するための臼を一度回しただけでは十分な糧を得ることはできない。この地域にある魅力や人の力という河川の流れを導き、経営意識という水車を作ることで継続して回し続け、その力をもって臼を挽き続けることで継続的に糧を得て、この地域を豊かにすることができるのである。


【多様な価値観が共生する地域づくり】
 我々の活動する地域に外国人住民が多く住み暮らすようになり20年以上がたち、一部の地域では多文化共生が進んでいる。未だ多くの問題の解決には至っていないにも関わらず、一部の地域の問題としてしか捉えられていない。私が目指す社会は互いが道を隔てて暮らす社会ではなく、共に手を取り、助け合う社会である。そのためには「外国人」住民という言葉にとらわれず、同じ地域で住み暮らす住民として問題に正面から向き合い、一歩ずつ解決への歩みを進み続けていかなければならない。


【結びに】
 1963年に結成された武生青年会議所は55周年を迎える。今、我々がこうして青年会議所運動を続けることができるのは、1年1年先輩方が活動の灯を燃やし続けてこられたおかげである。この54年間の灯を絶やすことなく、本年度も、そしてさらに次の60周年へとこれからも武生青年会議所が熱く活動できるように、我々一人ひとりが家族や地域、そして多くの仲間に支えられていることに感謝し、想いを懸け、変化に対応することのできる青年会議所運動を展開していかなければならない。これからの地域を変えていく力となるのは我々JAYCEEである。気概と情熱を持ち、すべてに感謝し、率先して行動していこう。


基本理念

原点を見つめなおし、一人ひとりが地域を変える力となろう

基本方針

・一人ひとりの成長の機会を創り、地域の力となる人財を生み出す

・今在るすべてに感謝し、次世代につないでいく

・JAYCEEとして真剣にこの地域に向き合い、継続的に問題解決に取り組む